電気設備の月次点検とは?必要性や点検内容、実施方法を徹底解説

電気設備は、日常生活や産業活動において重要な役割を果たしています。しかし、これらの設備は故障や劣化のリスクを抱えており、事故や停電を防ぐための定期的な点検が必要です。その中でも月次点検は、日常点検と年次点検の間に位置する重要な保守作業です。

本記事では、電気設備の月次点検について、その目的や必要性、具体的な点検内容、実施手順、そして点検を行う際の注意点やトラブル事例について詳しく解説します。


電気設備の月次点検とは?

月次点検とは、主に電気設備の安全性や正常な運転を確保するために毎月1回実施する定期的な点検のことです。
電気事業法に基づき、特定規模以上の電気設備には保守管理が義務付けられており、電気主任技術者や専門の保守会社が点検を実施します。

点検対象となる主な電気設備

  • 高圧受電設備: 変圧器、配電盤、遮断器、母線
  • 低圧設備: 分電盤、照明設備、コンセント回路
  • 動力設備: モーター、ポンプ、空調機器
  • 非常用設備: 非常用発電機、蓄電池、避雷器

月次点検の目的

1. 電気設備の安全性確保

電気設備に不具合があると、感電や火災、停電などの重大事故につながる可能性があります。月次点検は、事故を未然に防ぐための安全確認です。

2. 法的義務の履行

電気事業法により、事業用電気設備の保安業務は義務化されています。月次点検を怠ると、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。

3. 設備の寿命延長

定期的に点検を行うことで、設備の劣化を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。これにより、設備の長寿命化を実現できます。

4. 経済的リスクの低減

故障や停電が発生すると、修理費用や事業停止による損失が発生します。定期点検により突発的なトラブルを防ぐことで、経済的なリスクを抑えることができます。


月次点検の具体的な内容

1. 外観点検

設備の外部に目視で異常がないか確認します。

  • 配電盤・分電盤: 破損、変形、異常発熱の有無
  • ケーブル類: 被覆の傷、剥離、接続不良
  • スイッチ・遮断器: 操作部の変形、損傷

2. 電気測定

測定器を用いて、設備の正常な動作を確認します。

  • 電圧・電流測定: 受電電圧や負荷電流が規定範囲内か確認。
  • 絶縁抵抗測定: 配線や機器の絶縁状態を測定し、劣化をチェック。
  • 接地抵抗測定: 接地が適切に機能しているか確認。

3. 作動試験

非常用機器や保護装置の動作を確認します。

  • 非常用発電機: 起動試験、負荷運転試験
  • 避雷器: 異常放電がないか確認
  • 漏電遮断器: 試験装置を用いて動作確認

4. 環境チェック

設置場所の周囲環境が適切かどうか確認します。

  • 温湿度の管理状況
  • 配電盤周辺の清掃状況
  • 異常な振動や騒音の有無

月次点検の実施手順

  1. 点検計画の立案
    • 点検対象設備のリスト作成
    • 必要な測定器や工具の準備
  2. 事前準備
    • 事前に設備を停電状態にする(必要に応じて)。
    • 安全装備(絶縁手袋、絶縁靴など)の着用。
  3. 点検作業の実施
    • 外観点検 → 電気測定 → 作動試験の順に実施。
    • 異常箇所を記録し、写真撮影を行う。
  4. 点検結果の記録
    • 測定値や異常の有無を点検報告書に記載。
    • 必要に応じて修理や部品交換を計画。
  5. 作業後の確認
    • 点検作業終了後、設備の動作確認を行い、復旧状態を確認する。

月次点検の注意点

1. 感電防止

点検中に感電の危険があるため、停電作業や遮断器の操作を慎重に行います。また、測定時には測定器の取り扱いに注意が必要です。

2. 点検漏れの防止

点検リストを作成し、チェックリスト形式で進めることで、点検漏れを防ぎます。

3. 測定器のキャリブレーション

測定器は正確な値を示すように定期的に校正を行います。不正確な測定結果は、設備の安全性に影響を与える可能性があります。

4. 環境条件の確認

設置環境が適切でない場合、設備の劣化や故障を招く原因となります。特に高温多湿や粉塵の多い環境では注意が必要です。


月次点検のトラブル事例と対策

トラブル事例1: 絶縁劣化の放置

絶縁抵抗が低下した配線を放置した結果、漏電火災が発生。
対策: 毎月の絶縁抵抗測定で早期に劣化を発見し、修理を行う。

トラブル事例2: 非常用発電機の動作不良

長期間使用していない非常用発電機が、停電時に起動せずトラブルに。
対策: 月次点検での試運転を徹底し、燃料やバッテリーの状態を確認。

トラブル事例3: 接続不良による過熱

配線の緩みを放置した結果、接続部が過熱して機器の損傷が発生。
対策: 接続部分の締め付け状態を点検し、異常発熱をサーモグラフィで確認。


電気設備の月次点検を委託する場合

自社で専門の電気主任技術者を配置できない場合、点検業務を外部の保守会社に委託することが一般的です。保守会社には、経験豊富な技術者が在籍しており、適切な点検とアドバイスを受けることが可能です。

委託のメリット

  • 専門家による確実な点検
  • 最新の測定器を活用した高度な診断
  • 点検結果に基づく改善提案

まとめ

電気設備の月次点検は、安全性を確保し、トラブルを未然に防ぐための重要な作業です。外観点検、電気測定、作動試験を毎月実施することで、設備の劣化や故障を早期に発見し、必要な対策を講じることができます。また、法律で義務付けられているため、適切に実施することが企業の責任です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次