はじめに
この記事では、私の電験2種合格体験記を書いていきます。
これから電験を目指す方やモチベーションが上がらない方などの参考になれば幸いです。
私も勉強中は合格した方のブログやツイッターを見て、
励まされてました
私の経歴
学生から社会人(今)までの経歴
まず簡単に私の経歴を紹介します。
- 高校:田舎の普通科高校
- 大学:国立理系 工学部 電気科 卒業
- 仕事:プラント系 電気保全 ➡ 機械部品メーカー 生産技術&電気保全&受電設備管理
ご覧のとおり、大学から今に至るまで約10年間ほど何かしらの電気に関わる勉強や仕事をしています。
電験2種受験という観点では、私のスタートラインはかなり恵まれているほうだと言えます。
ちなみに電験2種を認定で取得しようとも考えましたが、
大学時代の単位が足りてなかったです (笑)
私の経歴紹介の理由
電験には3種から1種まですべて受験資格が必要ありません。
つまり、実務経験や学歴での足切りがないため、誰にでもチャンスがあり、
一方で有象無象が受験するので合格率は非常に低いです。
電験2種の合格体験記を参考にすると言っても、自分からあまりにもかけ離れた人物を見てしまうと、
間違った受験戦略や勉強法を取ってしまいます。
↓間違った戦略や勉強法の例はこちら↓
- 大学電気科卒の人を参考にして、必要な勉強時間を少なく見積もってしまう
- 数学や計算力の基礎がないのに、いきなり問題集にぶち当たり玉砕
- 暗記が得意じゃないのに、論述問題を完璧にしようとする
- 仕事や家庭で忙しいのに、無理なスケジュールを組んで体やメンタルを壊す などなど
そのための私の自己紹介です。
皆さんには自分のスタートラインを把握してから、電験合格というゴールを目指してほしいです。
試験勉強なんてものは、”要は合格点に到達すればいい”ので、自分の得意な分野・得意な方法で点を取ってください。
電験2種 受験の目的
電験受験の目的は、皆さんいろいろとあると思います。
一般的に多いのは、下記のような理由だと思います。
- 転職 👉 電気保安法人・工場・ビルメン
- 現職で配置転換希望 👉 受変電設備担当
- 業務上必要となった 👉 引継や配置換え
- 自己研鑽 👉 難関資格にチャレンジ
- 自己ブランディング 👉 講師や発信者としての拍付け
受験する理由は、人それぞれでいいと思います。
しかし、受験理由は明確にしておく必要があると思います。
なぜならば、受験理由を明確にしておかないと、電験の勉強が続かないからです。
電験2種の勉強は、正直言って辛いです。(少なくとも私は辛かった。)
途中でやめたり、諦めたりするのは簡単です。その時に踏みとどまる理由が必要です。
私の場合は、特高受電の工場で働いており、実務的にはすでに電気主任技術者の業務をやっていました。
前任者がシニアということもあり、引継ぎが必要だったため、電験2種を試験で受験しました。
自分のキャリアや前任者との信頼関係のためにも私は電験2種を取得する必要があり、それが強い動機になりました。
みなさんも自分が勉強に耐えられるだけの受験理由を考えてみてください。
私のモチベーションは大きく2つでした。
① 電験2種を持っておけば、一生仕事には困らないだろう!
② もし不合格だったらお世話になった大先輩の恩師に顔向けできねえ!
電験2種 受験歴
私の電験受験歴を簡単に紹介します。
こうしてみると、初めて受験してから7年経っています。
しかし、受験回数自体は1次試験は3回、2次試験は2回と意外と少ないです。
受験できない年が多く、途中で他の勉強に時間を使っていたこともあり、長い時間がかかってしまいました。
実は、受験しなかった2019~20年も少し勉強していたのですが、大学院に通いながらだったので、受験できるほどの時間は確保できませんでした。
電験2種 受験歴 (1次試験:3回、2次試験:2回)
- 2017年 1次試験 4科目 合格 ⇒ 2次試験不合格
- 2018年 1次試験免除 ⇒ 2次試験 未受験 ※転職の面接と被ったため
- 2019年 受験せず ※MBAの勉強のため
- 2020年 受験せず ※MBAの勉強のため
- 2021年 1次試験 3科目合格(機械のみ不合格)
- 2022年 1次試験合格(機械) ⇒ 2次試験 未受験 ※仕事と被ったため
- 2023年 1次試験免除 ⇒ 2次試験合格
皆さんは、1~2年で合格できるようにしてください。
不合格が続くとストレスが溜まってしょうがないです。
合格のための学習戦略
ここからは、戦略とスケジュールと参考書&問題集について話したいと思います。
まずは、合格のための戦略です。
戦略というのは、”スタートとゴールの間をどのように埋めるか”です。
ビジネスでは、ギャップ分析なんて言われたりします。
電験の試験勉強をするときに、いきなり問題集を解いたり、参考書を読んだりするのは良くないです。
なぜなら、スタート(自分の学力)とゴール(電験2種合格)をわかっていないのに、いきなり走り出すようなものです。
まずは、スタート(自分の学力)とゴール(電験2種合格)を知りましょう。
私のスタートラインは、レベル4くらいですかね。
スタート(自分の学力)は、自分にしか分かりません。
ざっくりは以下のような感じだと思います。
下記を参考に今の自分がどのレベルにいるのか、再度確認してみましょう
- レベル1: 電気保安 実務未経験 & 中学数学が怪しい
- レベル2: 電気保安 実務経験あり & 中学数学はOK
- レベル3: 電験3種合格者 👈 電験2種も1次試験は運が良ければ合格できる
- レベル4: 問題文の用語はある程度分かるが、高校数学(三角関数,微積,ラプラス変換)が怪しい
- レベル5: 問題を見れば解法が出てくるが、解答まであと1歩 👈 2次試験も戦えるかも
ゴール(電験2種合格)は、定量的に分かります。
※詳細は試験センターのHPなどで確認してください。
https://www.shiken.or.jp/examination/e-chief02.html
- 1次試験4科目に合格する = 各科目で60%以上の得点率 (54/90点)
- 2次試験に合格する = 2科目の合計で60%以上の得点率 (120/180点)
※このほかにも細かい基準はありますが、気にしなくてよいです
1次試験は、マークシートで60%なので電験3種と同じような要領で勉強できるでしょう
逆に1次試験の合格点に達しないようなら、電験3種の知識に抜け漏れがあります。
1次試験では、数値を使う計算問題はほとんど出ないので、知識や文字変形の計算程度です。
電験2種の本番は、2次試験です。
2科目ありますが、概要は以下のようになります。
① 電力管理 配点120点 試験時間120分 6問中4問解答 ※計算:論述=5:5
② 機械制御 配点 60点 試験時間60分 4問中2問解答 ※計算がほぼ100%
※要するに、30点問題10問から6問を選んで120点取れば合格です。
さて、戦略で一番大事なのは、自分が”何が得意で、何が不得意か”ということです。
1次試験は、満遍なく勉強しても、マークシートで得点率60%に達することができるでしょう。
しかし、2次試験は満遍なく勉強すると、勉強時間が足りません。
記述式の2次試験では、1つの出題分野に対して深い知識が求められます。
しかも、選択問題を限られた試験時間内で選択して、解答しなければいけません。
1問にかけられる時間は平均30分なので、計算時間や解答を書く時間を考えると、選択肢した問題を変える時間は無いです。
つまり、2次試験では、あらかじめどの問題を選択するか決めておく必要があります。
各科目の出題分野は下記のようになります。
① 電力管理 下記のうちから6問 計算:論説=3問:3問
発電 :火力発電 or 水力発電、再エネ
送配電:短絡計算、地絡計算、線路電圧、たるみ、分散電源、高調波
管理 :保護継電方式、需要計算
② 機械制御 下記のうちから4問 計算:論説=4問:0問
第1問.四機のうちのどれか(直流機、誘導機、同期機、変圧器)
第2問.四機のうちのどれか(直流機、誘導機、同期機、変圧器)
第3問.パワーエレクトロニクス
第4問.自動制御(古典制御 or 現代制御)
※下線を引いたものが私が勉強した分野です。つまり、それ以外は捨ててます。
電験2種合格戦略で大切なのは、どの分野を捨てるかです。
全体を見ると、”10問中6問解答して得点率60%以上”=”6問で3問完答+部分点”で合格です。
つまり、10問中4問分理解していれば、合格できるレベルです。
採点上は180点満点ですが、30点が10問あるので300点満点で120点取る気持ちで良いのです。
私で言うと、電力管理の論説3問と機械制御のパワエレ1問は捨てているので、初めから選択の余地は無いです。
① 電力管理は、自分が計算タイプか論説タイプか考えましょう。私は計算タイプ。
解答する問題は、
計算タイプは、計算:論説=3問:1問、となります。
論説タイプは、計算:論説=1問:3問、となります。
② 機械制御は、パワエレを捨てました。(ご自身の専門がパワエレであれば別ですが)
パワエレは、ほかの分野とのシナジーがないのに勉強時間も試験の時の解答時間も長くかかってしまいます。
また、直流機と現代制御も出題率が低いので捨ててもよいでしょう。(10年に1回程度)
私は計算タイプだったので、論説はほとんど勉強しなかったです。
本番も論説問題は、電力管理の2問選びましたが、ほとんど不正解です。一方で計算問題は、4問解答して正答率95%程度はあったと思います。
学習スケジュール&勉強時間
まずは合計の勉強時間ですが、私の場合は1,000時間くらいでした。
内訳は、1次試験 200時間、2次試験 1,000時間です。やはり2次試験が鬼門ですね。
期間は、2023年の1月から11月(試験日)までをカウントしてます。
学習スケジュール
- 合計時間:1,000時間(2次試験のみ)
- 期間 :2023年1月~11月(大体40週間)
- 1週間 :24時間(平日2h×5日 + 休日7h×2日)
- 時間帯 :平日 朝 4:00~6:00 ※終盤は夜20:00~22:00を追加
- 休日 朝 4:00~6:00 + 昼
私の場合は、朝型だったので起きてからすぐに勉強して、会社に行ってました。
朝は、習慣化できていたので、休日や飲み会の次の日以外はほぼ勉強できていたと思います。
一方で夜は、仕事で疲れていることもあり、終盤の9月以降を除けば、ほとんどやってません。
スケジュールを立てるときに一番大切なのは、”勉強時間を確保すること”です。
そのためには、”何をやめるかを選択すること”です。
私は、NetflixやYoutubeでドラマ映画や動画を観る時間を削りました。
また、スマホも見てしまうと余計な情報が入るので、使用制限設定をして1日2時間しか使えないようにしました。
勉強で”量より質”というのを見かけますが、”量”をこなさないと”質”はついてきません。
特に計算問題は、ある程度まとまった時間がないと勉強しずらいので、1時間以上の時間を毎日確保したいです。
参考書&問題集
使用した参考書&問題集は以下の通りです。
※ちなみに”購入しただけ”の本はもっとたくさんあります。
使用した参考書&問題集
- 電験2種 1次試験 これだけシリーズ(理論・電力・機械・法規)
- 電験2種 2次試験 これだけシリーズ(電力管理 計算編&論説編、機械制御 計算編)
- 電験2種 完全攻略
- 電験2種 2次試験 過去問(電験王)
- TAC電験2種講座 2022年Ver
1次試験は、ひたすら”これだけシリーズ”を読んでいました。
2次試験は、”TAC”の教材と”これだけシリーズ”でインプットしながら、過去問をひたすら周回していました。
最終的には、2次試験の過去問20年分(完全攻略+電験王)を5~6周ほどしたと思います。
過去問演習は1~2週目何も分からないので辛いです。
3~4週目で解き方は浮かぶようになるけど途中で間違えます。
5周目を超えると最後まで回答できる問題が増えてきます。
https://www.tac-school.co.jp/kouza_denken/denken2_crs_goukaku.html
試験当日の様子
試験は1次試験と2次試験がありますが、1次試験は2020~2021年、2次試験は2022年に受験しました。
1次試験は、緊張感は全くなかったです。
時間に追われることもないし、”まあ行けるでしょう、たぶん”くらいの感覚での受験でした。
2次試験は、とんでもない緊張感でした。
2年目の年だったので、落ちてしまうと来年は1次試験からやり直しになります。
試験時間にも余裕がないので、めちゃくちゃ集中していたのを覚えています。
受験場所は学習院大学(写真)でしたが、集合時間の2時間前に到着してソワソワしてました。
1科目目の電力管理はまだ見直しの時間があり、合格ライン上にはいるという確信がありました。
しかし、2科目目の機械制御は60分しかないうえに自動制御で少しテンパってしまったため、
かなり焦りながら解いたのを覚えています。
試験で緊張するのは仕方ないですね。
緊張するのは努力してきた証拠だと思うので、緊張しても100%の力を出せるように自分をコントロールしましょう。
自己採点&結果発表
試験後の自己採点は、そこそこ自信がありました。
計算問題を4問ほぼ完答できたので運がよかったです。計算ミスが無かったのが幸いですね。
論説は部分点狙いでたくさん書いただけなので、採点も適当です。
実際の合格発表でも無事に合格していました。
試験が11月で合格発表は2月なので、合格発表のときはもう緊張感は無かったのですが、
合格が分かり、一安心をいった気持ちでした。ちなみに恩師の先輩にすぐに報告しました。
2022/11/13 電験2種2次試験 自己採点結果
Ⅰ. 電力管理 80/120点
① 30/30点 計算 多分オッケー
④ 10/30点 論説 イマイチ
⑤ 10/30点 論説 後半だけ
⑥ 30/30点 計算 多分オッケー
Ⅱ. 機械制御 54/60点
② 30/30点 計算 計算多くて不安
④ 24/30点 計算 最後以外はオッケー
合計 134/180点 得点率 74% (合格ライン 108/180 60%)
(電験リベンジャーズという有志の方々の解答を参照しました)
色々な方の意見を見ると、この年の2次試験はかなり簡単だったようです。特に計算問題は過去問の数字を変えただけの問題もあったので、個人的にも当たり年だったと思います。
今後の電験の活かし方
というわけで、電験2種に合格しました。
先述した通り、私は特高受電の工場にいるので、現在は66kV受電工場の電気主任技術者に選任されています。
実務としては、3年前から電気主任技術者としての仕事はやっていたので、大きく変わることは無いです。
変わったことは、各種書類に私のハンコを押すことになるのと選任されると手当が月に5,000円付くことです。
今後は法的にも責任を負う立場になるので、より精進しようと思います。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
これを読んでいるということは、電験2種を受験しようと思っている方が多いと思います。
最初にも書きましたが、少しでもそういった方の力になれると嬉しいです。
自己紹介から受験戦略や今後に関してダラダラと書きました。
電験2種はそのうち必要だろうと思いながら何年もほったらかしにしていたので、終わって脱力しています。
今後は情報発信も積極的にやっていこうと思います。
ではまた!